■最後のメンテナンス
自転車屋にできる事
体の準備
この後秋田TT(6/8)が残っていますが、約一ヶ月に及ぶ唐見さんの合宿が一段落を向かえた。レース前に行う最後のトレーニングメニューを、良い形で終える事ができ、終了間際走りながらだけど、軽く握手して別れた。
一ヶ月とうい合宿としては長いものだが、こなさなければならない課題を考えると、あっという間に過ぎたように感じる。
教えたい事は全て教えたし、何よりも彼女自身が努力をした。
出逢って8年。あまり誉めた事無かったかもしれないが、今回は心から誉めてあげたい。
心の準備
レースでは奇跡は起こらない。
しかし幸運と不運は、紙一重に存在する。
オリンピアードであり年齢的にはピークを迎えた彼女には、レース以外のプレッシャーが存在する。
そのプレッシャーが厄介だ。時として言葉の暴力となる。
ナショナル選抜から外された今、まさにそのプレッシャーはピークだった。
思い悩んだようだが・・・
今日のトレーニング中、バイクでぺーサーする僕の横に並び掛けてきて、彼女が言った。
「何で自転車に乗っているのか判った。好きだから乗っているんです。」
単純明快で、まさに初心。だけど、この簡単な答えを出すのに、8年かかったのだ。
心の準備が整った瞬間に立ち会えた。
進もうとする者の前に道は拓かれる。
強い心を持って!
幸運は、こんな時に訪れる。
自転車の準備
手が小さな彼女の為に、エルゴレバーを2cm手前にする細工を施した。ドリルと、タップ。そしてヤスリ。
マイクロロンフルコースで、ワイヤーの抵抗を最小限までに軽減する。
これで、手首への負担を軽減できるはず。
彼女のロードバイクを整備するのは、これが最後になる。
もう二度と整備する事はない。
「どうか、壊れないで下さい。そして速く走って下さい。」
本心は、こんなとこかな。
培った全ての技術で、今日の残り全ての時間を費やした。
100点満点の出来。
自転車屋にできる事はこんなもんですかね。
あと数時間後に故郷であり、全日本のステージである広島に向けて旅立っていく。
行こうか否か随分と悩んだけど、僕はお店から健闘を祈る事にした。



















